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【dbts2025 レポート】Agentic AI and the Future of AI

AI テクノロジー
【dbts2025 レポート】Agentic AI and the Future of AI

こんにちは、コンサルティング本部の新卒社員です。
db tech showcase 2025 2日目のC16のセッションであるAgentic AI and the Future of AI
のレポートをお届けします。

セッション概要

As the limitations of large language models (LLMs) and generative AI become increasingly apparent, a new era of innovation is emerging. Agentic AI has emerged as a promising approach that combines the strengths of LLMs, autonomy, and decision-making to transform business operations.
For example, in the context of a car repair shop, agentic AI can support a mechanic's workflow by analyzing vehicle data, identifying potential issues, and providing recommendations for repairs.
In this session, we'll delve into the principles of agentic AI, explore the current tools and technologies available, and demonstrate how to implement agentic workflows.
By leveraging these technologies, for example a car mechanic can focus on what matters most - getting the customer's vehicle back on the road quickly and efficiently.

大規模言語モデル(LLMs)や生成AIの限界が段々と明らかになるにつれて、イノベーションの新たな時代が姿を現しつつあります。エージェント型AIはLLMsの強み、自律性、そして意思決定能力を兼ね備えた、ビジネスオペレーションを一変させる有望なアプローチとして登場してきています。
例えば、車の修理工場においては、エージェント型AIは車両データを分析し、潜在的な問題の特定、そして修理に関する様々な提案を行うことで、整備士のワークフローをサポートすることが可能です。
本セッションでは、エージェント型AIの原理を掘り下げ、現在使用可能なツールやテクノロジーを見つつ、エージェント型AIによるワークフローの策定の仕方について実演を行ってみようと思います。
これらのテクノロジーを駆使することで、例えば整備士は最も重要な仕事、すなわち車両の素早く効率的な修理に集中することが可能となるのです。

スピーカー名:
Miracle Finland Oy
CEO
Heli Helskyaho 様

Miracle Finland Oy
CTO
Matias Helskyaho 様

はじめに

最近よく耳にする「エージェント型AI」や「AIエージェント」といった言葉。聞く機会は多いものの、しかし私個人としては漠然とした理解しかしていませんでした。今回、そんな私にうってつけな、また同時によくエージェント型AIを知っている方々にとってもさらに理解が深まるようなセッションを、Miracle Finland OyのCEOとCTOであり、Oracle ACE DirectorとOracle ACE Proでもあるお二方が行ってくださいました。

まとめ

聞いていてとりわけ重要に思われた点を、以下3つに分けてまとめてみます。

  1. 「エージェント型AI」の概要について

エージェント型AIとは、大まかにいえば大規模言語モデルの能力に自律性や意思決定能力を組み合わせたようなものです。セッション概要にもあるように、例えば自動車修理においては、車両の持つ潜在的な問題をも特定し、修理の細かな流れを整備士に提案することで、整備士は自身の作業に効率よく取り組むことができます。
このエージェント型AIの重要な点は、ルールベースやデータドリブンである以前にゴールドリブン、すなわち目標の達成のために機能するということです。質問への応答という単純なタスクであればチャットボットでも十分ですが、目的達成のためのプロセスがかなり複雑になる、あるいは学習と改善が必須になる場合においては、エージェント型AIのような高度な推論能力を備えたものがより適しているというわけです。

  1. 活用事例について

実際の活用例として、車の修理や予定のスケジューリングなどのデモが行なわれました。
自動車修理の例では、ナンバープレートを教えることによって、過去の診断、修理履歴を取得し、エンジンの故障といった問題を特定します。そこからさらに修理方法はもちろんのこと、在庫の確認も行ってくれ、不足しているものがあれば発注の提案をし、それにあわせて整備士の予定も調整してくれます。
1日の予定を組む際にも、その日のタスクを伝えておけば自動的にカレンダに登録を行い、また最適な移動方法、例えば交通機関やルートも提案してくれます。

  1. 課題について

とは言っても、エージェント型AIがあらゆることに最適かつ万能というわけではありません。デモはPythonやLangGraph、MCP、A2A、Oracle 23aiなどの技術が使われていますが、少々複雑で導入のハードルは高いです。同時に多くのハードウェアやソフトウェアを必要とするため、コストの問題も発生します。
また、これはエージェント型AIに限らずですが、学習データの偏りや常識の欠如といった問題もあります。エンジニアのQ&AサイトであるStack Overflowでは時折「自分で学習してください」といった文言が見られますが、AIがこれを学習し、コード生成を拒否したという事例が報告されています。他にも、橋が昇降するため通行禁止ということを認識できず、そのまま落下した配送ロボットの例もあります。

聴講した感想

現代では、もはやITに関わる人だけでなくほとんどの人がAIに触れずには生きられない時代になってきましたが、今回のセッションではそのAIの最先端を改めて確認することができました。しかし、セッションの最後にも言及されていたように、これもすぐに過去のものとなってしまうのでしょう。
単なる生成にとどまらず、極めて複雑なタスクにも対応できるエージェント型AIは、現在様々な企業で多くのリソースが投下されているようです。マルチエージェントシステムなどを見ていると、ビジネスにおける最終的な意思決定もAIが行う時代がもう来ているのかもしれないと感じます。私も1人のエンジニアとして積極的に関わりつつ、その先に何があるのかを楽しみにしていようと思います。

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